相続手続きの期限はいつ?注意点を踏まえて確実な相続を

相続手続きの期限はいつ?注意点を踏まえて確実な相続を
本田 裕実子 税理士
監修 税理士法人アイユーコンサルティング 福岡事務所/相続・事業承継コンサルティング部シニアスタッフ

本田 裕実子 税理士

大学院通学時から大手税理士法人に入社し、3年間勤務。前職では、法人顧問、個人の確定申告のみならず、相続税申告や事業承継の一環としての株価評価などの資産税業務にも携わってきた。 2019年、資産税業務についてより専門性を高めたいとの思いから税理士法人アイユーコンサルティングに入社。 アイユーコンサルティングでは前職の経験を活かしつつ、お客様に寄り添ったサポートを行いたいという気持ちのもと、持ち前の愛嬌と笑顔で、IU最年少税理士として活躍中。 現在は、相続・事業承継コンサルティング部のシニアスタッフとして、お客様へ高付加価値サービスを提供すること、また社内の縁の下の力持ちとなることを目標に、業務に邁進している。

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相続手続きの中には期限のあるものもあります。期限をきちんと把握しておかないとペナルティーを受ける恐れもあるため、注意が必要です。ここでは、相続税の納付・申告という代表的な手続きから、遺留分侵害額請求といった少し特殊な手続きまで、幅広く解説します。

相続税の申告・納付

納税義務がある場合、「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」に申告・納付しなければなりません。例えば3月10日であれば期限は翌年1月10日となり、土日祝日などの場合翌日となります。申告書の提出先は、被相続人の住んでいた地域を管轄する税務署です。

万が一期限を過ぎた場合には、延滞税と無申告加算税が課せられます。無申告加算税は期限内に申告しない場合に発生し、延滞税は期限内に納付しない場合に発生する税金です。場合によっては高額になることもあります。

なお期限内に納付額を用意できず、一定の要件を満たした方に限って、分割払いの「延納」や物で納める「物納」の利用が可能です。

相続放棄・限定承認

相続では、全ての財産を相続する「単純承認」だけではなく、相続を辞退する「相続放棄」、プラス財産の範囲でマイナス財産を相続する「限定承認」という方法も選択できます。

相続放棄と限定承認は、「相続開始があったことを知ったときから3か月以内」に家庭裁判所に申述しなければなりません。期限が過ぎると単純承認となり、場合によっては相続したくない財産も引き継ぐことになります。

ただし、中には「相続する財産があるなんて聞いていない」と信じ込み、悪気のないまま期限オーバーになるケースもあります。「相当な理由あり」と判断されれば3か月後に手続き可能な場合もあるため、もしものときは専門家に相談しましょう。

また、3か月の間に相続する方法を決められない場合は、家庭裁判所へ申述すれば期限を延ばしてもらえる可能性があります。

準確定申告

亡くなった方に確定申告の義務がある場合、相続人が代わって所得税を納めなければなりません。これを「準確定申告」と言います。期限は「相続開始を知った日の翌日から4か月以内」で、通常の確定申告とは異なるため混同しないようにしましょう。申告・納付先は、被相続人が亡くなった当時の地域の税務署です。

期限を過ぎると、無申告加算税と延滞税が発生します。相続人が複数だと書類集めに時間がかかるケースがあるため、余裕を持って準備することをおすすめします。

相続税の還付

相続税納付後に払い過ぎが生じた場合は、還付請求(更正の請求)が可能です。「相続税の申告期限から5年以内」に行います。相続税の申告・納付は相続を知ったときから10か月以内ですから、還付請求は5年10か月以内だという計算も成り立ちます。

なお、特殊な事情が発生した場合は、その事実が生じた日の翌日から4か月以内に更正の請求をするという特則もあります。例えば、当初の申告時点で未分割だった財産を分割できたり、特例が使えるようになったりした場合です。

遺留分侵害額請求

民法では、兄弟姉妹以外の法定相続人に最低限の取り分となる「遺留分」を認めています。遺留分を請求することを遺留分侵害額請求と言います。期限は「相続の開始および侵害することを知ったときから1年以内」で、亡くなった事実だけでは足りません。

遺留分侵害額請求では内容証明郵便で意思表示をし、相手方が応じなかった場合に家庭裁判所での調停に進みます。相続開始から10年で時効を迎えることも知っておきましょう。

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相続発生後は、税金関係だけではなく加入していた年金や医療保険などの手続きもしなければなりません。必要書類は被相続人の状況により異なるため、関係機関に確認した上で進めましょう。

生命保険金の請求

被相続人が生命保険に加入していれば、受取人となる相続人は死亡保険金を受け取れます。死亡保険金の請求期限は、「支払事由(被保険者の死亡)が発生した翌日から3年以内」としているのが一般的です。期限オーバーになった場合でも支払いに応じてくれる可能性はあるため、カスタマーセンターに相談してみましょう。

請求のために必要な書類は保険会社によって異なります。被相続人が亡くなったら速やかに営業担当者やカスタマーセンターに連絡し、指示通りに対応しましょう。

死亡届・死亡診断書の提出

死亡届・死亡診断書は、「死亡日から7日以内」に被相続人の死亡地か本籍地の役場、または届出人の所在地役場に提出します。住民票も変わり、被相続人が世帯主で15歳以上の人が2人以上いる場合には、世帯主変更届も提出しなければなりません。

死亡届・死亡診断書はつづりになっています。死亡届は遺族が記入し、死亡診断書は医師に記入してもらいましょう。役場に提出後、火葬許可証を発行してもらえます。

期限が過ぎると正当な理由がなければ5万円以下の過料が発生するため、計画的に進めましょう。

年金の受給停止

年金受給中に亡くなった場合は、期限内に年金事務所に受給権者死亡届を提出します。

・国民年金:死亡日より14日以内
・厚生年金:死亡日より10日以内

期限が過ぎると年金が振り込まれ、後で返す手間が生じます。なお、未払い年金があれば、未支給年金・未支払給付金請求書を提出しましょう。被相続人が死亡した月分までの年金を受け取れます。

健康保険・介護保険の資格喪失

医療保険の資格喪失手続きの期限は、保険によって異なります。

・国民健康保険:死亡日より14日以内
・健康保険:死亡日より5日以内

自治体によっては死亡届の提出により自動的に処理してくれます。また後期高齢者医療制度も自治体によっては手続きが不要です。介護保険の手続きは「死亡日より14日以内」に行います。

保険証を返却するため、健康保険の被扶養者はその時点で保険証が使えなくなります。勤務先の健康保険か、国民健康保険への加入手続きを進めましょう。

葬祭費用の請求

国民健康保険・健康保険・後期高齢者医療制度には、葬祭費や埋葬費の給付があります。期限は以下の通りです。

・国民健康保険・後期高齢者医療制度:葬祭日から2年以内
・健康保険:死亡した日の翌日から2年以内

国民健康保険は被保険者が加入していた自治体の役場で手続きをし、健康保険であれば勤務先または健康保険組合に申請書を提出します。健康保険の被扶養者が亡くなった場合にも支給されるため、忘れずに届け出ましょう。

高額療養費の請求

同じ月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、高額療養費制度を使うことで払い戻しを受けられます。「診療を受けた月の翌月の初日から2年以内」に申請しましょう。

自己負担額の上限額は年齢や所得によって異なります。支給までに最低でも約3か月かかるため、計画的に進めましょう。なお相続放棄をした人は払い戻しを受けられません。

遺族年金の請求

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つがあり、請求期限は「死亡日から5年以内」です。被相続人によって生計を維持されていた遺族に請求権があります。

請求には年金手帳や戸籍謄本、世帯全員の住民票の写し、請求者の収入が確認できる書類などそろえる書類がたくさんあるため、余裕を持って対応しましょう。

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遺産分割協議や銀行口座・不動産などの名義変更の手続きには期限がなく、ペナルティーは発生しません。ただ、先延ばしにすると他の手続きに影響を及ぼします。手続きを済ませることで精神的な余裕が生まれるため、早めに取りかかりることをおすすめします。

遺産分割協議

遺言書がなかったり、遺言内容通りに相続しなかったりする場合は、遺産分割協議をして相続内容を決めます。遺産分割協議や遺言書の調査、検認、相続人の確定、財産の調査に期限はありません。

とはいえ、遺産分割協議を先延ばしにしてしまうと、相続税の申告・納付などに間に合わなくなります。さらに相次相続(短期間で新たな相続が発生すること)が起これば、相続人が減るため協議のやり直しも考えなければなりません。スムーズに終えるためにも、遺産分割協議は早めに始めましょう。

銀行口座

預金者が死亡したことが分かると、銀行側は他人が引き出すなどのトラブルを防ぐために口座を凍結します。口座凍結中は公共料金の支払いや引き出しができません。解除するには書類の提出や名義変更が必要です。

これらの手続きに期限はありませんが、相続税納付の準備などにお金は必要になるため、余裕を持って対応しましょう。

株式

被相続人が株式を持っていた場合、被相続人名義のままだと売買や換金ができません。相続人が口座を持っていれば移管可能ですが、被相続人と異なる証券会社の口座へは移管できないこともあります。どうしようもなければ、相続人名義の口座の開設が必要です。

株式の名義変更に期限はありません。証券会社によって方法や必要書類は異なるため、確認しながら進めましょう。

自動車

自動車の名義変更にも期限はありませんが、故人の名義のままだと車検が通らなかったり、売却ができなかったりと不都合が生じます。さらに、事故をしたとき、保険会社によっては任意保険が支払われない可能性もあるため、できるだけ早く手続きをしましょう。

被相続人が亡くなったら、まず自動車の「所有者」を自動車検査証で確認します。もし所有者が第三者であれば相続は発生しないため、手続きは不要です。

不動産

被相続人が亡くなり、不動産を相続する方もいるでしょう。不動産の登記には期限がありません。ただし登記をしないままでいると、遺産分割協議が難しくなったり売却ができなかったりします。

2024年4月1日以降、相続により(遺言による場合を含みます。)不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました。

正当な理由がなく申請をしなかった場合には、10万円以下の過料が科されることがありますので、早めに登記を済ませることをおすすめします。

なお、施工日(2024年4月1日)前に相続が発生していた方も相続登記の義務が課されますので、ご注意ください。

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相続税の申告・納付や相続放棄などの手続きを期限内に終えるには、相続発生後速やかに遺言書の有無や内容を確認することをおすすめします。場合によっては、税理士や弁護士への依頼も検討したほうがよいでしょう。

専門家に依頼することで、期限内に終えられるように計画を立てて進めてくれます。被相続人の死後、さまざまな手続きが精神的苦痛に感じることもあるものです。期限を過ぎるデメリットを考え、専門家に依頼しリスクを回避しましょう。

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相続手続きにお困りであれば、アイユーコンサルティングにお任せください。年間704件の相続税申告・相談実績があり、一般的な税理士よりも年間に30倍の申告をしているため、さまざまなシチュエーションのお客さまに対応可能です。

申告期限まで最短で1か月以内の手続きも承っております。相続税の申告・納付期限は「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」であるため、スピーディーな対応が求められるものです。アイユーコンサルティングには経験豊富な税理士が在籍しており、お客さまの状況をヒアリングしながらサポートしていきます。

遠方の方、外出する時間が取れない方にはWEB相談でお話を丁寧に伺っています。メールでのご連絡や必要書類の郵送なども速やかな対応が可能です。

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本田 裕実子 税理士
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