不動産の相続税はどうやって計算する?節税方法や売却時の税金も解説

アクセス
不動産の相続税はどうやって計算する?節税方法や売却時の税金も解説

親や親族が亡くなって不動産を相続することになったものの、不動産の相続税の計算方法が分からないという方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、不動産の相続税評価額や相続税の計算方法を紹介します。相続税を下げられる控除や特例を把握すれば、負担を軽くできるでしょう。相続後の不動産の活用方法や起こりがちなトラブルについても解説します。

不動産の相続税評価額の計算方法を土地と建物に分けて解説します。相続税評価額とは、相続税を計算するときの基準となる課税価格です。土地の相続税評価額は、主に市街地のような路線価が定められている土地は「路線価方式」、路線価が設定されていない土地は「倍率方式」を用いて計算します。

不動産の相続税評価額の計算方法

・土地の相続税評価額
路線価方式では、国税庁のホームページにある「路線価図」で相続税評価額を出したい土地に面する道路の路線価を調べ、路線価に土地の面積を乗じておおよその相続税評価額を計算します。

一方、倍率方式では、土地の固定資産税評価額に地域ごとに定められた倍率を乗じた額が相続税評価額です。

マンションの場合、路線価を使ってマンションのある敷地全体の評価額を出します。実際には土地の形や奥行きによって補正されますが、全体の評価額のうち自分の持ち分相当額が土地の相続税評価額の目安と考えるとよいでしょう。

・建物の相続税評価額
建物の相続税評価額は「固定資産税評価額×1.0」で求めます。マンションでも評価方法は変わりません。

いびつな土地の評価方法

土地の形状がいびつであったり、間口が狭かったりする場合、相続税評価額が下がります。いびつな土地として挙げられるのは、主に次の3種類です。

・不整形地
いびつな土地(不整形地)を長方形で囲んだ「想定整形地」と実際の「不整形地」との差の部分を「かげ地」と呼びます。かげ地の割合が高いほど、評価額が下がるのが特徴です。

・間口が狭小
土地の間口(道路に接している部分)が狭いケースでは、評価額を減額できます。普通住宅の場合、間口8メートル未満が対象です。

・奥行きが長大
間口の広さに対して奥行きが長い土地も、評価額を減額できます。間口の2倍以上の奥行きがある土地が対象です。

相続税額を算出するには、やや複雑な計算が必要です。相続税の課税対象となる財産の総額を求めて、法定相続分で按分した場合のいったんの相続税額を計算します。最後に相続税額を合算し、実際に受け取る相続財産の額で按分した金額が納付する相続税額です。ここでは、相続税の計算方法を3ステップに分けて解説します。

【ステップ1】相続税の対象となる財産の総額を計算

相続財産から墓地や仏壇のような非課税財産や被相続人の債務、葬式費用を差し引き、相続税の課税価格を求めます。そこから基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を差し引いて求めた金額が、相続税が課される遺産の総額です。

・相続税の課税価格=相続財産の総額-(非課税財産+債務+葬式費用)
・課税遺産総額=相続税の課税価格-基礎控除額

なお、基礎控除を差し引いた額が0円以下になる場合、原則として相続税の申告は必要ありません。

【ステップ2】仮の相続税額を計算

実際に納付する相続税額を算出する前に、法定相続分を使って仮の相続税額を算出します。実際に相続財産がどのように分けられたかは関係ありません。次の計算式で算出した各人の仮の相続税額を合算し、相続税の総額を求めます。

・各人の仮の相続税額=課税遺産総額×法定相続分×税率

【ステップ3】実際の相続税額を計算

相続税の総額を各人が実際に相続する財産の割合で按分して、それぞれが納める相続税額を計算します。税額控除を適用する場合、最後に相続税額から控除しましょう。

・各人の実際の相続税額=相続税の総額×各相続人が実際に相続する課税価格÷課税価格の合計額-税額控除

不動産の相続税額を計算したところ、想定より高くなりそうだと感じる方もいるでしょう。ここでは、相続税額から一定の金額を控除できる税額控除と、土地の相続税評価額を減額できる小規模宅地等の特例について解説します。

配偶者の税額軽減

被相続人の配偶者が相続財産を受け取った場合、実際に取得した遺産額のうち「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか多い金額までは相続税がかかりません。例えば、受け取った遺産が10億円でも法定相続分以下であれば相続税は0円です。

法的に婚姻関係があれば適用でき、婚姻期間に制限はありません。ただし、配偶者の税額軽減を適用するためには相続税申告が必要です。

未成年者控除

法定相続人が未成年者の場合、「満20歳になるまでの年数×10万円」を相続税額から控除できる制度です。次の3つの要件を満たせば適用できます。

・相続財産の取得時に日本国内に住所がある人
・相続財産の取得時に20歳未満である人(令和4年4月1日以後の相続は18歳未満に引き下げ)
・相続財産を取得した人が法定相続人であること

障害者控除

法定相続人が85歳未満の障害者である場合に相続税額から一定額を控除できる制度です。「満85歳になるまでの年数×10万円」が控除できます(特別障害者の場合は1年につき20万円)。次の3つの要件を満たせば適用できます。

・相続財産の取得時に日本国内に住所がある人
・相続財産の取得時に障害者である人
・相続財産を取得した人が法定相続人であること

相次相続控除

今回の相続開始前10年以内に被相続人が別の相続で財産を受け取って相続税を納付していた場合、今回の相続で財産を取得した人の相続税額から一定額を控除できる制度を相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)といいます。次の3つの要件を満たせば適用できます。

・被相続人の法定相続人
・今回の相続開始前10年以内に発生した相続で、被相続人が財産を取得していること
・今回の相続開始前10年以内に発生した相続で、被相続人が相続税を納付したこと

贈与税額控除

被相続人から相続開始前3年以内に贈与された財産がある場合、贈与された財産も相続財産に加えて相続税の計算をします。

贈与税額控除とは、贈与された財産に対して納めた贈与税額を相続税額から控除できる制度です。贈与時に贈与税を納付した財産に対し、再度相続税がかからないように設けられています。

小規模宅地等の特例

被相続人または被相続人と生計を一にする親族が使っていた居住用または事業用の宅地等を相続した場合、一定の要件を満たすことを条件に土地の評価額を最大80%減額できる制度です。なお、減額の対象は土地のみで、建物には適用できません。マンションは敷地権が対象です。

宅地の種類によって、上限面積や減額割合が異なります。対象となる宅地等は次の4種類です。

種類 上限面積 減額割合
特定居住用宅地等 戸建てや分譲マンションなどの自宅 330平方メートル 80%
貸付事業用宅地等 賃貸マンションやアパートなど、事業として貸し付けている宅地 200平方メートル 50%
特定事業用宅地等 個人商店の店舗や個人事務所など、貸し付け以外の事業で使用している宅地 400平方メートル 80%
特定同族会社事業用宅地等 被相続人が経営する企業に貸していた宅地 400平方メートル 80%

生前贈与する

生前贈与は相続財産を減らすことで相続税の軽減を図る手段ですが、相続税の代わりに贈与税がかかる点に注意が必要です。贈与税の課税制度の主なものとして、「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」があります。

暦年贈与は、受贈者1人につき年間110万円まで非課税です。一方、相続時精算課税制度を選択すると、合計2,500万円まで贈与税がかかりません。なお、相続時精算課税制度を使って贈与された財産は、暦年贈与のように相続開始前3年以内という贈与の時期にかかわらず、全てが相続財産の課税価格に加算されます。

例えば、親が賃貸不動産を営んでいるケースでは、経営を続けるうちに家賃収入によって将来相続される財産が増えるでしょう。生前贈与することで、親の相続財産が増えるのを抑えられます。

賃貸不動産は評価額が下がる

相続財産が賃貸不動産である場合、貸している人は不動産を自由に使えません。自由に使えないのは不便であると判断されるため、通常の価格から一定額を差し引いて相続税評価額とします。

相続時に貸家として利用されている家屋の場合、計算式は「固定資産税評価額-固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合」です。例えば、家屋の固定資産税評価額が1,000万円、借家権割合30%、賃貸割合100%である場合の相続税評価額は、1,000万円-1,000万円×30%×100%=700万円と計算して求めます。

相続した不動産の活用方法について悩んでいる方もいるでしょう。ここでは、相続した居住用不動産の活用方法を紹介します。不動産のあるエリアや建物の間取り、建物の状況によって適する方法は異なるため、建物の賃貸を考えている方は不動産会社に相談するとよいでしょう。

自宅として利用する

相続した不動産を自宅として利用するのが、最も手軽な活用方法です。他にも、セカンドハウスや倉庫として利用してもよいでしょう。ただし、建物の老朽化が進んでいてそのままでは利用できない場合、リフォーム費用がかかる点がデメリットです。

クリーニングだけして賃貸する

大掛かりなリフォームはせずにクリーニングだけして、倉庫や作業場として賃貸する方法も考えられます。リフォーム費用をかけずに済むことがメリットですが、エリアによっては借りる人が見つからない恐れがあるため注意が必要です。また、長期的な収入が見込めない点もデメリットといえるでしょう。

リフォームを行い賃貸する

キッチンやトイレといった水回りを含めた設備をリフォームすることで、賃貸目的の居住用不動産として活用できます。生活に必要な設備を新しくすることで、長期的な収入が期待できるでしょう。賃料も周辺エリアの相場に近い金額が見込めます。ただし、他の方法と比較して初期費用がかかる点がデメリットです。

相続した不動産を使う予定がなく賃貸も考えていない場合でも、固定資産税の他、維持費や管理費がかかります。適切な管理をせずに空き家を放置した結果、「特定空家等」と見なされると、通常の6倍の固定資産税が課される場合もあるため注意が必要です。ここでは、不動産の売却について解説します。

不動産の査定方法

不動産の査定方法は、土地のみの場合と建物を含む場合で異なります。土地のみであれば、周辺で売りに出ている土地の価格からおおよその推測が可能です。

建物を含む金額を知りたい場合、査定額は建物の状態によって大きく変わります。一般的に築年数が5年~10年程度で状態の良い建物であれば、土地代に建物の価格を加えられるでしょう。

一方、築年数30年以上の木造住宅といったケースでは、建物自体の価格は数十万円から百万円ほどにしかならないこともあります。建物の老朽化が進んでおり壁や柱を含めた大規模な修繕をしなければならない場合、リフォーム代が建物の価格を上回ることも考えられるため注意が必要です。

不動産の売却にかかる費用

土地や戸建て、マンションといった不動産を売却する際は、さまざまな費用がかかります。不動産の売却にかかる主な費用は次の通りです。

・仲介手数料
・印紙代(売買契約書に貼付)
・抵当権抹消費用(売却物件に住宅ローンが残っている場合)
・家財品などの残置物の撤去費用
・建物解体費用
・建物滅失登記費用
・測量費用
・地中埋没物の処理費用(建物解体後に敷地から過去の住宅の基礎などが出た場合)
・立ち退き費用(賃貸している場合)
・譲渡所得税

売却先は「一般の個人」または「不動産会社」

不動産は一般の個人に売却する他に、不動産会社に買い取ってもらう方法があります。できるだけ高く売却したい場合や買い手が付きやすい不動産である場合には、個人へ売却するとよいでしょう。相続税の納税資金として使うなど現金化したい時期が決まっているのであれば、不動産会社に買い取ってもらうのがおすすめです。

不動産売却時には譲渡所得税がかかる

不動産売却時に出た利益は「譲渡所得」と呼ばれ、譲渡所得税がかかります。不動産売却時の譲渡所得にかかる税金は、給与所得といった所得と区分して計算する分離課税です。なお、確定申告は他の所得と同時に行います。

譲渡所得の計算式は、次の通りです。一定の要件を満たし特例を適用できる場合には、算出額から特別控除額を差し引けます。

・課税譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(一定の要件を満たす場合)

なお、取得費に納めた相続税額の一部を加算できる「取得費加算の特例」もあります。適用要件は、「相続や遺贈、死因贈与で財産を取得していること」「財産を取得した方が相続税を納めていること」「相続財産を相続開始日から3年10ヶ月以内に譲渡していること」の3つです。

「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」とは?

一定の要件を満たした場合、建物または土地の譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度です。主な適用要件には次のようなものがあります。

・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
・マンションではなく戸建てであること
・相続開始の直前において被相続人以外に住んでいる人がいないこと
・相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・売却代金が1億円以下であること

不動産を相続した場合、相続税申告や相続登記といった手続きが必要です。相続税申告には申告期限があるため、「気が付いたら申告期限を過ぎていた」ということがないように注意しましょう。また、納税資金も忘れずに準備する必要があります。ここでは、不動産を相続する際の注意点に焦点を当てました。

相続手続きの期限に注意する

相続税の申告期限および納税期限は、相続開始後10か月です。特に、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は10か月以内に申告しないと適用されません。また、相続放棄や限定承認を選択する場合、相続開始後3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

葬儀や四十九日の準備で忙しいうちに期限が来ることも考えられるため、相続手続きの期限には注意しましょう。

不動産の名義変更(相続登記)が義務化される

相続による不動産の名義変更手続きを「相続登記」といいます。法定相続人が相続で不動産を取得した場合、相続登記で権利を確定しておかないと所有権の所在が曖昧になり、次回の相続でトラブルに発展する恐れがあり注意が必要です。

なお、現在は相続登記に期限はありませんが、2023年をめどに相続開始から3年以内に登記しなければ10万円以下の過料が科されます。

納税資金を準備する必要がある

相続財産の大半が不動産である場合、法定相続人は手持ちの現金で相続税の納税資金を準備しなければなりません。手元に納税資金がない場合、不動産を売却し現金化することも検討する必要があるでしょう。なお、納税については、延納や物納といった方法もありますが、基本的には税務署に認めてもらえるケースは少なく、現金による一括納付が原則です。

預貯金や株式のような金融財産と比較し、土地や建物といった不動産は共有名義の問題が発生しやすい傾向があります。相続時に不動産の売却や活用方法について結論が出ず、共有名義のまま放置されているケースも少なくありません。権利が曖昧なまま時間が経過すると、トラブルに発展する恐れがあり注意が必要です。

共有名義不動産の管理や変更には同意が必要

共有名義の不動産の場合、管理やリフォーム、売却といった行為は単独の判断ではできません。共有者への利益の影響が大きいほど多くの同意が必要です。将来的に住む予定がなく売却したい場合でも、共有者が1人でも反対すると売却はできません。

条件 行為 具体例
単独でできる 保存行為 草むしり、雨漏りの修繕など
過半数の同意が必要 管理行為 部分的なリフォーム、短期間の賃貸借など
全員の同意が必要 変更行為 大規模なリフォーム、建て替え、売却など

共有名義の解消方法

共有名義を解消するには、「自分の持ち分を売る」「他の共有者の持ち分を買う」「放棄する」といった方法があります。

自分の持ち分を売ったり他の共有者の持ち分を買い取ったりすれば、名義を1人に絞って共有名義を解消できるでしょう。また、放棄には「相続放棄」と「持分放棄」がありますが、持分放棄は相続放棄とは異なり申述期限がありません。

いくら話し合っても共有名義の解消に至らない場合、裁判所に分割方法を決定してもらう「共有物分割請求訴訟」が有効でしょう。

不動産の相続は複雑です。条件によっては評価額を下げられる可能性もあるため、専門家に相談したほうがよいでしょう。アイユーコンサルティングには以下のような強みがあります。

・鑑定士と連携して土地の評価額を下げられる場合も
「建物を建てることが困難」「形がいびつ」といった相続税評価額より時価が低いと想定される土地の場合、不動産鑑定士と連携し評価額の圧縮を検討します。

・不動産の分割方針で法定相続人の間でもめているケースも安心
相続に強い弁護士や司法書士と提携しており、相続関連の手続きをワンストップで解決するサポート体制があります。相談内容に応じて適切な専門家を紹介しますのでご安心ください。

・初回相談は無料
相続に関して誰に相談してよいか分からないという方のために、初回の相談は無料で受け付けています。まずはお気軽にご相談ください。

不動産の相続税を計算する際は、相続税評価額を算出します。土地の形状によっては複雑な計算が必要です。また、控除や特例を適用することで相続税を下げられる場合もあるため、税理士のような専門家に任せると安心でしょう。

不動産の相続に関してお困りでしたら、アイユーコンサルティングにご相談ください。無料相談フォームからお気軽に申し込めて、初回の相談は無料です。

初回無料相談
まずはお気軽にご相談ください

  • 土・日・祝日も受付中

  • 平日の夜もご相談可能

  • 全国対応可