「相続税の申告要否検討表」が届いたら?書き方や提出義務について解説

「相続税の申告要否検討表」が届いたら?書き方や提出義務について解説
三橋 伸男 税理士
監修 税理士法人アイユーコンサルティング 東京事務所/タックスコンサルティング部シニアスタッフ

三橋 伸男 税理士

20代前半で働きながら、法人税法、相続税法、所得税法の国税3法に合格。 資産税メインの個人会計事務所にて総資産5億円以上の相続税申告や不動産オーナーの節税対策をするとともに、当該資産家の資産管理会社も含めたトータル的なサポートを長期的に従事してきた。 2020年税理士法人アイユーコンサルティングに入社。 これまでの経験と国税3法に合格した知識を活かし、さらに株価対策、事業承継まで業務範囲を広げ、様々な業種の法人に対応できるよう尽力している。 また、相続税申告に携わる中で、相続がお客様にとって転機となることに気付き、お客様に応じた最善の対応ができるよう常に心掛けている。 持前の明るさを活かし、悩みに寄り沿いながらクライアントとの良好な関係を築くため業務に日々邁進している若手税理士。

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相続が発生してから6か月~8か月後に、相続税の申告や納付が必要と推測される方に税務署から送られてくる書類が「相続税の申告要否検討表」です。必要に応じて相続税の申告をするように促すお知らせであると同時に、申告が必要かどうかを判断するチェックシートとしての役割を備えています。

税務署は死亡届を受け取った市区町村役場からの通知によって相続の発生を認識できる他、過去に提出された確定申告書や固定資産税課税台帳から亡くなった方の財産の推測が可能です。ただし、あくまで推測であるため、実際に相続税の申告が必要かどうかを相続税の申告要否検討表によって確認する必要があります。

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実際に書類が届いた方に向けて、相続税の申告要否検討表の書き方を紹介します。なお、届いた用紙に手書きする以外にも、国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」から入力し印刷する方法でも問題ありません。

(参考: 『相続税の申告要否判定コーナー|国税庁』)

亡くなった方の基本情報

亡くなった方の住所、氏名、生年月日、亡くなった日を記入しましょう。職業の欄には、亡くなる直前の職業と併せて、定年退職するまで働いていた職業も記入します。過去の職業を聞くのは、亡くなる寸前は職に就いていないことが多く、それ以前の職業を確認することで資産状況を推測するためです。

相続人の情報

相続人の氏名と続柄の他、人数も記入します。相続を放棄した方がいても、その方を含めた全ての法定相続人の記入が必要です。親族のうち誰が法定相続人であるかは、民法により次のように定められています。

常に法定相続人 配偶者
第1順位
第2順位 直系尊属(父母または祖父母)
第3順位 兄弟姉妹

配偶者は常に法定相続人です。それ以外は順位が決まっており、子・父母(祖父母)・兄弟姉妹が同時に法定相続人になることはありません。上の順位の方がいると以下の順位の方は法定相続人にはなれないことに注意が必要です。

相続財産に含まれる不動産の情報

土地と建物の所在地や面積を記入し、評価額を算出します。面積は概算値でも問題ありませんが、固定資産税の通知書に同封されている固定資産税課税明細書、もしくは不動産登記簿を確認すると正確な数値が分かるでしょう。

土地の評価額は、市街地のような路線価が定められている地域は路線価方式、路線価が定められていない地域は倍率方式で計算します。建物の評価額は、固定資産税評価額と同額です。

また、先代名義の不動産も記載する点に注意しましょう。例えば、先代の相続時に相続登記がされていないと、被相続人の父母が登記名義人になっている場合があります。登記簿上の名義は異なっていても、所有権は先代の相続によって移転しているため、被相続人の財産として記入しましょう。

なお、相続登記は2025年4月1日より義務化されます。義務化されると、相続が開始し所有権を取得したと知った日から3年以内に登記しなければなりません。

(参考: 『路線価図・評価倍率表|国税庁』)

相続財産に含まれる金融資産の情報

現金や預貯金、株式、公社債、投資信託といった金融資産の情報を、亡くなった日時点の金額で記入しましょう。ただし、株式や公社債、投資信託のような金融資産に関しては、実際にはより実情に見合った詳細な方法で評価額を算出します

相続財産に含まれる死亡保険金、死亡退職金の情報

法定相続人が受け取った死亡保険金や死亡退職金の金額、保険会社の名称を記入しましょう。被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は相続税の課税対象に該当します。

ただし、死亡保険金の受取人が法定相続人の場合、「500万円×法定相続人の数」が非課税です。死亡退職金も同様に、受け取った死亡退職金から「500万円×法定相続人の数」を非課税枠として差し引けます。

その他の相続財産

ここまで記入した財産の他に、家庭用財産や自動車、貸付金、骨董品といった財産があれば、金額を記入しましょう。

家庭用財産や自動車、骨董品のような財産は「売買実例価額」で評価します。売買実例価額とは、相続開始日に売ったと仮定した場合の金額です。インターネット上で業者による買取金額を調べたり、実際に見積もりを出してもらったりするとよいでしょう。

生前贈与された財産の情報

生前贈与で受け取った財産があれば、金額と種類を記入します。贈与税には2種類の課税方法があり、「相続時精算課税」は60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子または孫へ財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度です。

2,500万円までは贈与税がかからずに贈与できますが、相続時に贈与時の金額で相続財産に加算され相続税の課税対象となります。

相続時精算課税を選択しなくても、亡くなる3年以内に贈与された財産は相続財産として扱われる点に注意が必要です。なお、夫婦間や親子間の贈与で、生活費や教育費として必要と認められる金銭は課税対象ではありません。ただし、相続財産を取得しない方については贈与財産を相続財産に計上する必要はありません。

※2024年1月1日以降の相続の場合、生前贈与の加算期間が徐々に伸びていき最長7年間加算されます。

詳しくは下記の弊社ブログで解説しております

2023年度税制改正で贈与加算期間が延長!

借入金・未納の税金・葬式費用についての情報

課税対象となる相続財産から借金や未納の税金、葬式費用を差し引きましょう。相続税を求める際には、預貯金や不動産のようなプラスの財産から借金といったマイナスの財産を差し引いて課税遺産総額を算出しますが、これを「債務控除」と呼びます。

マイナスの財産の他にも、葬式費用も控除可能です。なお、葬式費用として控除できるものと控除できないものがあります。

控除できる葬式費用 ・葬式(仮葬式、本葬式)にかかった費用
・火葬や納骨、遺骨の回送にかかった費用
・通夜のような通常葬式に伴う費用
・読経料、お布施、戒名料などお寺に支払った費用
・遺体や遺骨の運搬にかかった費用
控除できない葬式費用 ・香典返し
・墓石や墓地の購入費用
・初七日のような法事にかかる費用

 

相続税申告書の提出が必要かどうかの判定

フォーマットに沿って記入した内容から、相続税申告書の提出が必要かどうかを判断します。基礎控除である「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を上回らなければ、相続税はかかりません。

したがって、課税遺産総額から基礎控除を差し引いた結果がプラスの場合、相続税申告が必要です。一方、マイナスであれば必要ありません。0円に近い微妙な結果である場合、計算が間違っていないか再度チェックする他に、税理士といった専門家に相談することをおすすめします。

作成税理士の情報を記入する欄は空欄でもOK

作成税理士の氏名、事務所所在地、電話番号を記入する欄がありますが、相続税申告について税理士に依頼していない場合、空欄のまま提出して問題ありません。

なお、「財産の金額が合っているか自信が持てない」「申告要否の判定結果が微妙な金額だった」「申告期限に間に合わないかもしれない」という不安を感じているならば、税理士への相談をおすすめします。

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相続税の申告要否検討表に記入しようとしたものの、亡くなった方の財産が分からないケースもあるでしょう。相続財産は正確に調査しないと、正しい相続税申告ができません。ここでは、相続財産の詳細を調べる方法を財産の種類ごとに解説します。

相続財産の調査方法

  • 預貯金
    預入先の金融機関が分かる場合、残高証明書を発行することで残高を調べられます。
  • 不動産
    毎年4月~5月ごろ届く固定資産税の納付書に同封されている固定資産税課税明細書で確認が可能です。見つからない場合、固定資産課税台帳の証明書を市区町村で発行してもらうとよいでしょう。
  • 株や投資信託
    口座開設時の資料や年に1回発行される年間取引報告書で、口座のある証券会社を特定します。特定した証券会社に残高証明書を請求し、保有している株や投資信託を確認しましょう。なお、銀行や信用金庫で投資信託を購入している場合、預金口座とまとめて残高証明書を発行できます。

相続財産の漏れに注意!

相続税申告の要否を判定する際には、漏れなく相続財産を把握する必要があります。相続財産を正確に調査しなければ、相続税の納付義務があるかどうかも判定できません。納税義務があるにもかかわらず相続税を納付しなかったり、申告後に相続財産の漏れが判明したりすると、延滞税や無申告加算税といった罰則金を徴収される恐れがあります。

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「相続税の申告要否検討表に提出義務はあるのか」「できれば面倒な書類作成は避けたい」と感じる方もいるかもしれません。相続税の申告要否検討表に提出義務はありませんが、作成するのが望ましいでしょう。ここでは、提出したほうがよい理由について解説します。

「相続税の申告要否検討表」に提出義務はない

相続税の申告要否検討表に提出義務はありません。しかし、相続税の申告が必要かどうか確認するために、作成することをおすすめします。作成した結果、申告が必要と分かれば、相続税の申告要否検討表を提出せずに相続税申告の手続きに進んでも問題ないでしょう。

相続税の申告が必要ないと判断した場合は返送するのが望ましい

相続税の申告要否検討表は、税務署が相続税の申告が必要であると見込んだ方に送付されます。「相続税の申告要否検討表」で申告が必要かどうか検討した結果、必要ないと判断した場合は、税務署にその根拠を示すために「相続税の申告要否検討表」を提出することが望ましいでしょう。

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相続財産の申告漏れがないか不安に感じているならば、ぜひアイユーコンサルティングにご相談ください。豊富な実績に基づく知識によって、最大限の節税を意識したご提案が可能です。実際の事例を紹介しつつ、アイユーコンサルティングの強みをお伝えします。

名義預金の計上漏れに注意

実際にアイユーコンサルティングで取り扱った事例を紹介します。被相続人であるXさんの財産状況は、以下の通りです。Xさんの配偶者は、生活費を節約したお金やXさんからもらった小遣いを貯金していました。また、Xさんは孫の将来のために孫名義の口座に貯金もしています。

  • Xさんの財産状況
    土地:7,500万円
    建物:1,500万円
    預貯金:4,000万円
  • 配偶者の財産状況
    預貯金:2,000万円(配偶者名義)
  • その他の財産状況
    預貯金:500万円(孫名義)

Xさんの財産1億3,000万円だけでなく、お金の出どころがXさんである配偶者名義の預貯金2,000万円と孫名義の預貯金500万円も、被相続人の相続財産として計上しなければなりません。アイユーコンサルティングでは申告漏れしやすい名義預金も慎重に確認します。

年間500件以上の相続・承継案件を手掛ける「相続のプロ集団」

アイユーコンサルティングは、年間704件(2022年)の相続・承継案件を手掛ける相続のプロ集団です。多くの実績から得た知識を生かし、ひとりひとりのお客様に合わせた信頼と安心の相続対策をご提案します。

  • 顧客満足度調査にて98.20%のお客様から満点の評価
    アイユーコンサルティングのお客様のうち、98.20%から顧客満足度調査にて満点の評価をいただいております。資産税を専門としているため、節税を意識した幅広いご提案が可能です。
  • 遠方からでも相続の相談ができる
    アイユーコンサルティングでは全国各地のお客様から相続に関するご相談を承っています。電話や郵送でのやりとりが可能です。
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相続税の申告要否検討表が届いた場合、提出する義務はありませんが、実際に作成し相続税の申告が必要かどうか確認することをおすすめします。相続税の財産評価には複雑な計算が必要なものもあるため、税理士のような専門家に任せるのもひとつの方法でしょう。

アイユーコンサルティングでは相続税に関するご相談が初回無料です。相談専用フォームから、まずはお気軽にお問い合わせください。

三橋 伸男 税理士
監修 税理士法人アイユーコンサルティング 東京事務所/タックスコンサルティング部シニアスタッフ

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20代前半で働きながら、法人税法、相続税法、所得税法の国税3法に合格。 資産税メインの個人会計事務所にて総資産5億円以上の相続税申告や不動産オーナーの節税対策をするとともに、当該資産家の資産管理会社も含めたトータル的なサポートを長期的に従事してきた。 2020年税理士法人アイユーコンサルティングに入社。 これまでの経験と国税3法に合格した知識を活かし、さらに株価対策、事業承継まで業務範囲を広げ、様々な業種の法人に対応できるよう尽力している。 また、相続税申告に携わる中で、相続がお客様にとって転機となることに気付き、お客様に応じた最善の対応ができるよう常に心掛けている。 持前の明るさを活かし、悩みに寄り沿いながらクライアントとの良好な関係を築くため業務に日々邁進している若手税理士。

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