投稿日:2026.02.24 最終更新日:2026.02.24
社員旅行は参加率50%未満でも課税されない?国税庁Q&Aから読み解く判断基準
こんにちは。
税理士法人を母体に中小企業・資産家向けにサービスを展開するアイユーコンサルティンググループです。
新しい一年が始まりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
社員旅行を企画する際、
「参加率が50%未満だと課税される」
と聞いたことはありませんか?
実は、国税庁の公表しているQ&Aを見ると、必ずしもそうとは限らないケースが示されています。
本記事では、社員旅行の費用が給与課税の対象とならず、福利厚生費として認められるための考え方を整理します。
国税庁が示す「非課税判断」の基本的な考え方
社員旅行の費用を会社が負担した場合、その経済的利益は従業員に帰属します。
そのため、一定の条件を満たさなければ「給与」として課税対象となります。
従来は、次の2点が大きな目安とされてきました。
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旅行期間が4泊5日以内
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参加率が50%以上
しかし、国税庁が公表した最新のQ&Aでは、参加率が38%であっても給与課税の対象外とされた事例が紹介されています。
なぜ「50%未満」でも課税されなかったのか
当該事例では、次のような条件が示されていました。
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期間:3泊4日
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費用:15万円(うち会社負担は7万円と一定程度に抑えられている)
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対象:福利厚生規程に基づき、全従業員を対象として実施
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目的:社内の親睦や勤労意欲の向上
ここで重要なのは、参加率という数値のみで機械的に判断されたわけではないという点です。
旅行の実態を総合的に勘案し、「社会通念上一般的な福利厚生の範囲かどうか」が判断基準とされています。
つまり、「50%以上」が絶対条件というわけではなく、あくまで目安のひとつと考えるべきです。
社員旅行が福利厚生費として認められる原則条件
国税庁タックスアンサー(No.2603)では、従業員レクリエーション旅行について、主に次の観点が示されています。
1.旅行の規模が一般的であること
豪華すぎる旅行ではなく、世間一般の範囲内であることが求められます。
具体的な目安は次のとおりです。
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期間:4泊5日以内(海外旅行の場合は現地滞在日数)
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参加率:全従業員の50%以上
※工場や支店単位で行う場合は、その単位で50%以上
ただし、前述のとおり、これらは絶対的な数値基準ではなく、総合判断の材料とされています。
2.現金に換えることができないこと
旅行に参加しない代わりに現金を支給するなど、「金銭選択制」がある場合は注意が必要です。
この場合、参加者を含めて全員分が給与課税の対象となる可能性があります。
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不参加者に現金を支給しない
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旅行券等への換金ができない
といった運用が重要になります。
3.役員のみを対象とした旅行でないこと
対象が役員のみの場合、原則として福利厚生費ではなく「役員給与」や「役員賞与」として扱われます。
社員旅行として認められるためには、全従業員を対象としていることが前提となります。
実務上、会社が気を付けるべきポイント
給与課税のリスクを抑えるために、次の点を意識しておくことが重要です。
① 目的を明確にする
社内親睦や勤労意欲向上といった目的を、規程や社内文書で明確にしておくこと。
② 内容の妥当性を保つ
高額すぎる旅行や、特定層のみが実質的に参加する内容にならないよう配慮すること。
③ 費用負担のバランスを検討する
会社が全額負担する場合は、金額水準や期間が社会通念上妥当か慎重に検討すること。
④ 証拠資料を保管する
案内文書、参加者名簿、旅程表、写真などを保存しておくことは、後日の説明資料として有効です。
まとめ
今回の国税庁Q&Aの事例から分かるのは、
「参加率50%未満=直ちに課税」というわけではない
ということです。
重要なのは、その旅行が福利厚生として社会通念上妥当であるかどうか、という実態です。
社員旅行は、従業員のモチベーション向上や組織の一体感醸成に有効な施策である一方、税務上の取り扱いを誤ると想定外の課税リスクを招く可能性もあります。
企画段階から税務面を整理しておくことが、結果的に安心につながります。
税務に関するお悩みがある方は、アイユーコンサルティンググループまでお気軽にお問い合わせください。