「1億円の壁」を超える新ルール!2025年施行のミニマムタックスをわかりやすく解説

こんにちは。

税理士法人を母体に中小企業・資産家向けにサービスを展開するアイユーコンサルティンググループです。

2025年1月1日から施行された「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」、
いわゆるミニマムタックス(Minimum Tax)について、その仕組みと影響をわかりやすく解説します。

本制度は、所得が一定水準を超える個人に対して、最低限の税負担を求める新たな仕組みです。

(以下では説明を簡潔にするため、復興特別所得税や所得控除は考慮していません。)


背景:「1億円の壁」を是正する動き

財務省の統計によると、個人の所得税負担率は1億円を境に下がる傾向がありました。

これは、所得が上がるにつれて給与などの累進課税よりも、株式の配当や売却益といった金融所得(約15%固定課税)が中心になるためです。

たとえば、

  • 給与所得1億円:税率45%

  • 上場株式配当所得1億円:税率15%

同じ所得でも、税負担額に大きな差が生じていました。

この「1億円の壁」を解消し、所得に応じた適正な負担を確保するために導入されたのがミニマムタックス制度です。


適用条件:3.3億円超の所得が基準

ミニマムタックスは、次の計算式で適用されます。

 
(基準所得金額-3.3億円)×22.5% > 基準所得税額

上記を満たす場合、その差額分を追加で所得税として納める必要があります。

  • 基準所得金額:申告不要制度を使わずに算出した合計所得金額(上場株式の配当・譲渡益を含む)

     ※NISAなどの非課税所得は除外。

  • 基準所得税額:その年分の基準所得金額に対する所得税額(外国税額控除などを除く)

つまり、3.3億円を超える所得部分に対して、最低でも22.5%の税負担が発生する仕組みとなりました。


適用の目安と試算

上場株式の配当のみを所得とした場合(税率15%)の試算は以下のとおりです。

ケース1:配当所得4億円

  • 通常課税:4億円 × 15% = 6,000万円

  • ミニマムタックス: (4億円 − 3.3億円) × 22.5% = 1,575万円

    → 通常課税のほうが大きいため、追加課税なし。

ケース2:配当所得10億円

  • 通常課税:10億円 × 15% = 1億5,000万円

  • ミニマムタックス: (10億円 − 3.3億円) × 22.5% = 1億5,075万円

    → 差額75万円が追加納税額。

ケース3:配当所得30億円

  • 通常課税:30億円 × 15% = 4億5,000万円

  • ミニマムタックス: (30億円 − 3.3億円) × 22.5% = 6億750万円

    → 差額1億5,075万円を追加納税。

このように、金融所得のみの場合、概ね10億円前後から追加税負担が発生することになります。

財務省の試算では、実際に影響が出る平均的な所得水準は約30億円とされています。

(出典:財務省「税制改正の概要」)


注意点と今後の見通し

対象は原則として超富裕層ですが、たとえば相続した株式を売却して一時的に高額な所得が発生した場合など、思わぬ影響を受ける可能性もあります。

国外資産や海外証券口座を利用している方は、基準所得金額に含まれるかどうかの確認も必要です。

今後、制度運用の詳細や適用範囲の見直しが行われる可能性もあり、引き続き注視が必要です。


まとめ

ミニマムタックスは、高所得層の税負担を国際的な水準に合わせるための制度改革です。

相続・資産運用・企業オーナーなど、資産規模の大きい方にとっては、

今後の税負担計画や資産管理の考え方に直結する制度といえるでしょう。

税制改正や資産管理に関するご相談は、

全国15拠点で専門チームを展開するアイユーコンサルティンググループまでお気軽にお問い合わせください。


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